手中にある場合よりも政府の手中にある場合の方がより[#「より」に傍点]濫用されやすい、ということである。会社は法律の統制に服することがより[#「より」に傍点]多く、そしてたとえ慎慮の限度を越えてその発行額が拡張するのがその利益であるとしても、それは地金または正金を請求する個人の権能によって制限され妨げられるであろう、と言われている。政府が貨幣発行の特権を有つ場合にはこの妨げは長くは尊重されず、政府は将来の安固よりもむしろ現在の便宜を考える傾きが有り過ぎ、従ってそれは、便宜という理由に名を藉《か》りて、その発行額を統制する妨げを除去せんとする気になり過ぎるかもしれない、と論ぜられている。
専断な政府の下においてはこの反対論は大きな力を有つであろうが、しかし開けた立法府を有つ自由な国においては、紙幣発行権は、所持人の意志に従って兌換するという必要な抑制の下にあって、その特別の目的のために任命された委員の手に安全に託され得、そして彼らは大臣の支配から全然独立せしめられることであろう。
減債基金は、単に議会に対してのみ責任を有つ委員によって管理され、そして彼らに委任された貨幣の投資は極めて規則正しく行われている。紙幣の発行が同様の管理の下に置かれた場合に、それがこれと等しく真面目に調整され得べきことを、疑うべきいかなる理由が有り得るであろうか?
(一二九)紙幣の発行によって国家従ってまた公衆に対して生ずる利益は、公衆がその利子を支払う国債の一部分を無利子の負担たらしめるから、十分に明かであるが、しかもそれは、銀行紙幣の一部分の発行方法たる所の、商人が貨幣を借り、またその手形を割引いてもらうことを出来なくさせるから、商業に対し不利である、と言われるかもしれない。
しかしながらこれは、もし銀行が貨幣を貸さなければそれを借りることは出来ず、そして市場利子率及び利潤率は、貨幣の発行額とそれが発行される通路に依存するものである、と想像することである。しかし一国はその支払手段さえ有れば、毛織布や葡萄酒やその他の貨物に事欠かないと同じく、借手が十分の担保を提供しかつそれに対して喜んで市場利子率を支払う気ならば、貸付けらるべき貨幣にも事欠かないであろう。
本書の他の部分において、私は一貨幣の真実価値は、その生産者のある者の享受すべき偶然的便益でではなく、最も恵《めぐま》れない生産者
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