少によって、残っている全部は最良の貨幣の価値にまで引上げられ得るのである。
 スミス博士は、植民地通貨に関するその議論の中で、自分自身の原理を忘れたように思われる。紙幣の減価をその分量の過大なるに帰せずして、彼は、植民地の保証が完全に確実であると仮定して、十五年後に支払わるべき一百|磅《ポンド》は、同時に支払わるべき一百|磅《ポンド》と等しい価値を有つか否かを問うている。私はもしそれが過重でないならば、しかりと答える。
(一二七)しかしながら経済は、国家でも銀行でも無制限の紙幣発行権を有つ時には常にこれを濫用するの結果となったことを、示している。従ってあらゆる国家において、紙幣の発行は何らかの制限と統制との下にあるべきである。そしてその目的のためには、紙幣発行者をして、その銀行券を地金で支払う義務に服せしめるのが、最もよいように思われる。
〔『公衆を(註一)本位そのものが蒙るもの以外の通貨の価値の何らかの他の変動に対して確保し、同時に、最も出費が少くて済む媒介物をもって流通を行わしめる事は、通貨が齎され得る最も完全な状態を達成する事であり、そして吾々は銀行をしてその銀行券と引換えに、ギニイ貨幣の引渡ではなく造幣本位及び造幣価格での未鋳造の金または銀の引渡をなさしめる事によって、すべてのこれらの利益を所有する事となろうが、この方法によれば紙幣が地金の価値以下に下落する時には必ず地金の量の減少を伴うであろう。地金の価値以上への紙幣の騰貴を防ぐために銀行はまた紙幣を、一オンスにつき三|磅《ポンド》一七シリングという価格で本位たる地金と引換えに与えざるを得ざらしめられるべきである。銀行に余りに多くの手数をかけないために、三|磅《ポンド》一七シリング一〇ペンス二分の一という造幣価格で紙幣と引換えに要求される金の分量、または三|磅《ポンド》一七シリングで売られるべき分量は決して二十オンス以下であってはならない。換言すれば銀行は二十オンス以下ではない所のそれに提供された金のある分量を一オンスにつき三|磅《ポンド》一七シリング(註二)で購買し、また要求される分量を三|磅《ポンド》一七シリング一〇ペンス二分の一で売却せざるを得ざらしめらるべきである。銀行がその紙幣量を左右する力を有っている間はかかる規定よりして銀行に起り得べき不便は何もあり得ないのである。
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