桙ノは、吾々はそれを輸入することを止めるであろう。しかしながらこのことは決して起り得ないであろう。一貨物を輸入することを吾々に決心せしめた動機はそれが外国においては相対的に低廉であることを発見したにある。それは外国でのその価格と内国でのその価格との比較である。もし一国が帽子を輸出し毛織布を輸入するとすれば、そうする理由は帽子を造ってそれを毛織布と交換することにより、毛織布を自国で造る場合よりもより[#「より」に傍点]多くの毛織布を取得することが出来るからである。もし粗生生産物の騰貴が帽子の製造における生産費の増加を齎すならば、それは毛織布の製造における費用の増加をも齎すであろう。従って、もし双方の貨物が国内において造られるならば、それらは双方共に騰貴するであろう。しかしながら一方は、吾々が輸入する貨物であるから、貨幣価値が騰貴した時にも、騰貴もしなければ下落もしないであろう。けだし下落せざることによって、それは輸出貨物に対するその自然的関係を恢復するであろうからである。粗生生産物の騰貴は帽子をして三〇シリングから三三シリングに、または一〇%騰貴せしめる。同一の原因はもし吾々が毛織布を製造していたならば、それを一ヤアルにつき二〇シリングから二二シリングに騰貴せしめるであろう。この騰貴は毛織布と帽子との関係を破壊するものではない。一箇の帽子は一ヤアル半の毛織布に値したし、また引続きそれに値する。しかしもし吾々が毛織布を輸入するならば、その価格はまず貨幣価値の下落によって影響を蒙らず、次いでその騰貴によって影響を蒙らずして、引続き一様に一ヤアルにつき二〇シリングであろう。しかるに三〇シリングから三三シリングに騰貴している帽子は再び三三シリングから三〇シリングに下落するであろう、そしてこの点において毛織布と帽子との間の関係は恢復されるであろう。
この問題の考察を簡単にするために、私は、粗生原料品の価値の騰貴は、すべての内国貨物に等しい割合で影響を及ぼすものであり、すなわちもし一貨物に対して及ぼす影響がそれを一〇%騰貴せしめることであるならば、それはすべての貨物を一〇%騰貴せしめるであろうと、仮定して来たが、しかし貨物の価値が粗生原料品及び労働から出来上っている割合は極めて異っており、またある貨物例えば金属から造られているすべてのものは、地表からの粗生生産物の騰貴によって影
前へ
次へ
全346ページ中138ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
吉田 秀夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング