には現われない。しかしノルウェイでは、すべての死亡は計算に入ってき、そしてこの国が養い得る以上に生れる場合には、何らかの形で大きな死亡率が生じなければならないことは、明かである。人は疾病によって殺されなければ、飢餓によって殺されるであろう。従って大きな外国への移民がなく、国の資源が著しく増加するということがなければ、ノルウェイでは、いかに空気が清浄であろうとも、またその国民の職業がいかに健康的であろうとも、人口に対する予防的妨げの普及の拡大以外には、他国以下の死亡率を生ぜしめるものはあり得ないのである。
 ノルウェイは古来、ゴオルスと呼ばれる大きな地所または農場に分たれていたようである。そして相続法によればすべての兄弟は財産を平等に分割するのであるから、これらの地所はますます再分されなかったのは、驚くべきことであり、また人口がこれまでいかに遅々たる増加しかしなかったかを示す証拠である。現在はそれらの多くはなるほど半ゴオルス、四分の一ゴオルス、またはそれ以下に分割されている。しかし従来一般に、父親が死亡した場合、委員は地所の価値を低い率で評価する習慣があり、そしてもし長男がこの評価に従っ
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