齔リの他のものは何でもないと云わねばならぬ、と云っている。これは飢饉である。なるほど――と彼は云う――蒙昧人がその飢餓に堪える忍耐力は、飢餓に対する不用意と匹敵するが、しかし彼らは時にその維持能力以上のひどい目にあうのである1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] Hist. N. Fr. tom. iii. p. 338.
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 アメリカ土人の大部分では、農業上若干進歩しているものでさえ、一年のある季節には森林の中に散らばり、一年の食料の主要部分として狩猟の獲物で数ヵ月暮すのが、一般の習慣である1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。その部落に残っていれば彼らは確実に飢饉に会わなければならぬが2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]、森林へ行ったからとて、必ずしもそれから確実に免れるとはきまっていない。鳥獣に不足のないところですら、最も優れた猟人でさえ時に獲物の得られぬことがある3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]。しかもこの獲物のないときには、狩猟者や旅行者は、森林の中で最も惨酷な欠乏に曝されるのである4)
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