燒蛮なものでも各団体が自分の領土に対して有つ権利のことはよく知っている2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。そして他の団体が自分達の猟場の獲物を殺すのを防ぐのは最も重大なことであるから、彼らはこの民族的財産を最大の注意をもって番をする。かくて無数の戦争原因が必然的に起る。隣り合う民族は互に不断の敵対状態にある3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]。一種族における膨脹行為は、まさに近隣者に対する侵略行為となる。けだしその増加した人を養うためにはより[#「より」に傍点]以上の領域が必要であろうからである。この場合においては、当然に、双方の損害によって勢力の均衡が回復されるか、または弱い方の団体が絶滅され、またはその土地から駆逐されるまで、続けられるであろう。敵の侵入が彼らの耕地を荒廃し、または彼らをその猟場から駆逐する時には、彼らは滅多に持運び得る貯えを有たないのであるから、一般に極度の欠乏に陥れられる。侵略された地域の全人民はしばしば森林や山の中にのがれなければならないが、この森林や山は彼らに生活資料を何も与えることが出来ず、従ってそこで多くの者は死んでしまうのである4)[#「4)」
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