右に挙げた習慣は、主として家族の扶養に伴う困難から生じたものと思われるが、これは、その親が彼らを救おうとする最上の努力にもかかわらず蒙昧生活の困難の下において必然的に多数の子供が死ななければならぬということ1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]と相俟って、疑いもなく、新しく生れて来るものを力強く圧迫しなければならぬのである。
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1)[#「1)」は縦中横] クリュウクシュウスは、ほとんど三十人に一人も成年に達しない、と云っている(Hist. Canad. p. 57.)が、これは確かに大きな誇張に違いない。
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若い蒙昧人がその少年期の危険を無事に通った時には、これに劣らぬ恐るべき他の危険が成年になろうとする彼を待ち構えている。蒙昧状態においてかかる疾病は、数は文明社会よりも少いが、その激しさと、致命的なことでは、文明社会にある疾病よりももっと甚しい。蒙昧人は不思議なほど不慎慮であり、そして彼らの生活資料は常に不安なものであるから、彼らは、獲物の多寡、または季節の生産物の多少によって、しばしば極端な欠乏から法外な豊富へと移行する1)[#「
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