っとうまくやるには国を富ますことが先だという観念すら起さしめない。従っていかなる公共事業も政府に期待することが出来ず、そしていかなる個人資産家も、資本所有を意味する如き改良はあえてこれを行おうとはしないが、けだしこれはおそらく直ちに身の破滅の徴標となるであろうからである。かかる事情の下にあっては、吾々は、古代の事業がなおざりにされ、土壌がよく耕作されておらず、そして生活資料従ってまた人口が大いに減少しているのを見ても、少しも驚く気になれないのである。しかしナイルの氾濫によるデルタの自然的肥沃度は著しく高く、従って何らの資本が土地に投下されず、相続権がなく、従ってほとんど財産権がなくとも、それは、なお、その面積に比例して大きな人口を維持しているのであって、これは、もし財産が安固であり勤労がよく指導されるならば、徐々としてこの国の耕作を改良し拡張し、そしてそれを昔の栄華状態に戻すに足るものである。エジプトについて、その勤労を妨げたのが人口の不足であるわけではなく、その人口を妨げたのが勤労の不足である、と安んじて云い得るであろう。
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