あり、ために、一家を養う困難から生ずる早婚に対する妨げが何も存在したことはなく、また悪習や都市や不健康な職業や過労によって人類の種の浪費が生じたこともない国は、今まで知られていないことが、認められるであろう。従って、吾々の知るいかなる状態においても、人口の力が完全に自由に働くがままに委ねられたことはないのである。
 結婚に関する法律が制定されていようが、いまいが、自然と道徳との教えるところは、年早く一人の婦人に愛着することであるように思われる。そしてかかる愛着の結果たるべき結婚に対し、いかなる種類の妨害もなく、そしてその後に至って人口減退の原因もないならば、人類の増加は明かに、今まで知られているいかなる増加よりも遥かにより[#「より」に傍点]大であろう(訳註)。
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〔訳註〕以上の二つのパラグラフは 1st ed., pp. 18−19. に、これとほぼ一致する記述がある。
[#ここで字下げ終わり]
 生活資料はヨオロッパの近代諸国のいずれよりもより[#「より」に傍点]十分であり、人民の行状はより[#「より」に傍点]純潔であり、そして早婚に対する妨げはより[#「より
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