Bそして地球全体はこの点では島嶼と同様である。しかし、島嶼における人口の限界は、特にその面積が小さい時には、極めて狭くかつはっきりしているので、誰でもこれを眼にし承認しなければならないから、最も確かな記録がある島嶼の人口に対する妨げに関する研究は、現下の問題を極めてよく例証する傾《かたむき》があろう。ニュウ・オランダの稀薄に散在している蒙昧人について、キャプテン・クックの第一航海記の中で問われている疑問、すなわち『いかなる仕方で、この国の住民はそれが養い得るだけの数に減らされるのか2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]、』という疑問は、南洋における最も人口稠密な島々、またはヨオロッパ及びアジアにおける最も人口の多い国々についても、等しく正当に発せられうる疑問である。この疑問を一般的に適用すれば、それは私に非常に興味あるものに思われ、そして人間社会の歴史上最も曖昧な、しかしながら最も重要な問題の闡明《せんめい》へと、導くように思われる。かくの如く一般的に適用されたこの疑問に答えるための努力なのだというのが、本書の最初の部分の目標を最も簡単明瞭に現わした言葉なのである。
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