をした1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。』
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 1)[#「1)」は縦中横] Id. c. x. p. 397, 398.
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 もしすべての人が援助すべき義務を負うかかる最高階級の大人物高徳者ですらかかる窮迫に陥ることがあるのであるならば、吾々は容易に、最下層階級の苦難がいかなるものであるかを推察することが出来るのである。
 かかる章句は、これらの法典の起草された初期の時代に、最も過酷な困窮の季節が存在したことを、明かに証明するものである。そして吾々は、それがその時以来不規則に時々起ったと考えるべき理由をもっている。ジェスイット僧の一人は、彼が一七三七年及び一七三八年の二ヵ年の飢饉の間に目撃した惨状は、筆紙に尽し難いと云っているが1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、しかし、彼がこの飢饉とそれがもたらした死亡率とについて述べているところは、それだけで十分人を戦慄せしめるものである。もう一人のジェスイット僧はもっと一般的に次の如く云う、『毎年吾々は一千名の児童に洗礼を施すが、彼らはその両親がもはや養うことが出来ず、または死にそうなのでこれを手離そうとして母親が吾々に売るものである2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。』
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 1)[#「1)」は縦中横] Lettres Edif. tom. xiv. p. 178.
 2)[#「2)」は縦中横] Id. p. 284.
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 人口に対する積極的妨げは、もちろん、主としてスウドラ階級に、及び一切の階級から追放され町の中に住むことさえ許されないいっそう悲惨な人々に、主として落ちかかるであろう1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] Sir Wm. Jones's Works, vol. iii. c. x. p. 390.
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 この人口部分に対しては、赤貧及び栄養不足の結果たる伝染病と、幼児の死亡とは、必然的に大きな暴威を振うであろう。そして無数のかかる不幸なる人々は、不作の時にはおそらく、社会の中流階級が著しい欠乏に少しも襲われぬうちに、一掃されるであろう。レイナル僧正は(何の典拠によってかは知らないが)、米が不作の時には、これらの貧乏な追放者の小屋に放火し、そして逃亡する住人は、生産物を少しも消費しないように、土地の所有者によつて射殺される、と云っている1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] Hist. des Indes, tom. i. liv. i. p. 97. 8vo. 10 vols. Paris, 1795.
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 社会の中流及び上流階級のものすら、家族を養うことが困難であるために、またはその階級から下落することを恐れて、印度のある地方の人民は、多数の子供が生れないようにするために、極めて惨酷な手段をとるに至っている。ベナレス州の一地方ジュナポオルの辺境のある種族に、女児を殺す習慣のあることは、十分に証明されている。母親は彼らを餓死させるのを余儀なくされた。人々はかかる惨酷な習慣の理由として、その娘に適当な配偶者を得るには、非常な費用がかかることを挙げていた。これにはただ一つの例外の村があったが、そこには数人の老嬢がいた。
 かかる原則によれば当然に種族は永続し得ないということになるであろう。しかしこの一般原則に対する特殊の例外と他の種族との通婚が、種族維持の目的には十分であった。東印度会社はこれらの人民に、この非人道的な慣行を継続しないという約束を無理にさせたのである1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] Asiatic Researches, vol. iv. p. 354.
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 マラバアル海岸地方では、ネイル族は正則の婚姻を行わず、そして相続権は兄弟の母に属するか、または姉妹の息子に属するが、それは子供の父は常に不確実ということになっているからである。
 婆羅門の間では、一人以上の兄弟がある揚合には、そのうち長兄のみが結婚する。かくして独身生活を送る弟達は、ネイル族風の結婚をせずに、ネイル族の女子と同棲する。長兄に息子がいない場合に、はじめて次兄が結婚する。
 ネイル族の間では、一人のネイル女子が二人または四人またはおそらくそれ以上の男性と契るのが習慣である。
 大工、鍛冶屋、その他の如き下層階級は、その上層者を模倣しているが、違うところは、血統に間隙が生ずるのを防ぐ目的で一人の女子に対する共同関係を兄弟及び血縁男子に限っている点であ
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