)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Volney, tom. i. c. xii. p. 172.
2)[#「2)」は縦中横] Id. p. 173. ヴオルネエが試みているエジプトの農民の状態に関する右の描写は、この問題に関する他のすべての著者によってほとんど確証されるようである。殊に次の貴重な論文において、〔Conside'rations ge'ne'rales sur l'Agriculture de l'Egypte, par L. Reynier. (Me'moires sur l'Egypte, tom. iv. p. 1.)〕
〔訳註〕『直接の』の語が加ったのは第三版からである。
[#ここで字下げ終わり]
一七八三年には疫病《ペスト》が非常に蔓延した。また一七八四年及び一七八五年には、ナイルの氾濫の不足によって恐るべき飢饉がエジプトを蔽った。ヴォルネエはこの時に生じた窮情の驚くべき描写をしている。初めは乞食で一杯であったカイロの街からはまもなく彼らの姿が全然なくなったが、それは死ぬか逃げるかしたのである。莫大な数の不幸な貧民は、死を免れるために、あらゆる隣国に散ってしまい、そしてシリアの町々はエジプト人で溢れた。街路や広場は、飢えて死にかけた骸骨のような人に充ち満ちた。迫る飢えを満たすべきあらゆる忌わしい手段が採られた。最も胸の悪くなるような食物も貪り食われた。そしてヴォルネエは、昔のアレキサンドリアの城壁の下で、駱駝の屍体の上に二人のみすぼらしい貧民が坐っていて、犬と腐肉を争っているのを見た、と述べている。この二年間の人口減少は全住民の六分の一と見積られた1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Voy. de Volney, tom. i. c. xii. s. ii.
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第九章 南北シベリアにおける人口に対する妨げについて
アジアの最北地方の住民は、主として狩猟と漁撈とによって暮している。従って吾々は、彼らの増加に対する妨げは、アメリカ・インディアンの間におけるものと同一性質であり、ただアメリカの温暖な地方におけるよりも戦争による妨げが非常に少なく、そして飢饉による妨げがおそらくより[#「より」に傍点]大であるという点だけが異なる、と考え得よう。不幸なペルウズの書類を持ってカムチャッカからペテルスブルグまで旅をしたドゥ・レセップ氏は、世界のこの地方が時に食物の不足から蒙る窮乏の陰惨な光景を書いている。カムチャッカのボルチェレックという村に滞在中に、彼は曰く、『ひどい大雨は洪水を起し、川から魚を逐いはらってしまうから、この地方では有害である。貧しいカムチャッカ人に最もつらい飢饉はその結果であり、これは昨年は半島の西海岸にあるあらゆる村に生じた。この恐るべき災害はこの地方に極めて頻々と起るので、住民はその住居を棄て、魚のもっと豊富なカムチャッカ河の流域にその家族と共に移住するを余儀なくされる。カスロフ氏(ドゥ・レセップ氏を案内したロシア士官)は西海岸に沿って進もうと思っていたが、この飢饉の報を受けたので、その希望に反して、中途で立往生の止むなきに至ったり餓死したりするよりは、むしろ引返そうと決心した1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。』違った道をとってみたが、その途中で、橇を引く犬のほとんどすべてが食物の不足で死んでしまった。そしてどの犬も、倒れるや否や、直ちに他の犬に貪り食われてしまった2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Travels in Kamtschatka, vol. i. p. 147. 8vo. Eng. trans. 1790.
2)[#「2)」は縦中横] Id. p. 264.
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かなりの商業の行われているオコオツクの町でさえ、その住民は、オコオタ河が春に解氷するのを空腹をかかえてじりじりしながら待っている。ドゥ・レセップ氏がそこにいた時に、乾魚の貯蔵はほとんど尽きかけていた。碾割麦《ひきわりむぎ》は非常に高価なので、一般人には買えなかった。河水を干して莫大な数の小魚が捕れたが、その喜びと騒ぎはこれを見て倍加した。最も飢えた者がまず救われた。ドゥ・レセップ氏は痛嘆して曰く、『私はこのあわれな人々のがつがつした有様を見て、涙を禁じ得なかった。………全種族が魚を奪い合い、私の眼の前で生のままそれを貪り食った1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。』
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1)[#「1)」は縦中横] Travels in Kamtschatk
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