蛯ォさは従って不明である。すなわち人口増加力は食物増加力よりも大であるということだけはわかるが、その真実の開きは不定限であるというのである。――これが彼れの根本命題の真の意義である。さて、しかるに食物は人間の生存に必要なのであった。しからば結論は当然に、人口は必然的に生活資料によって制限される、ということにならざるを得ない。かかるものが彼れの基礎理論なのである1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
[#ここから2字下げ]
1)[#「1)」は縦中横] Ibid., chs. I, II & IX.
[#ここで字下げ終わり]
以上の基礎理論は生物界一般につき自然法則として樹立されたものであるが、彼は次に一転して、この理論によって社会の問題を解こうとし、平等主義や貧民法や人口論争の問題を論ずるに至ったことは、右に述べた如くである。しかし彼は社会を説くに当って、当時の時事問題のみを論じたのではない。彼は歴史を論じ、人類はまず狩猟状態から始まり、次いで牧畜状態に進み、最後に農牧併行状態に進むものと考え、これらの時代における重要な歴史事実を以上の如き基礎理論によって解釈せんとしているのである
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