ソの生産は減少するので、まもなく人口と生活資料との均衡は破壊され、三十年も経たない内にゴドウィンの社会は全滅してしまうことであろう。ゴドウィンの説はかくて、必然の法則から発する罪悪及び窮乏を社会制度に由来するものと考えた点にある、と云わなければならない1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Ibid., ch. X.
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さればまた当然に単なる人口増加の擁護は誤りでなければならない1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。それと同時に、食物を増加せしめずに単に人口のみを増加せしめ、かつ社会の最良部分とは称し得ないものに食物を強制的に分与しようとする貧民法もまた、誤れる法律であると云わなければならない2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Ibid., ch. VII.
2)[#「2)」は縦中横] Ibid., ch. V.
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これと共にまた、前述の人口は過去と現在とではいずれが多いかという人口論争についても、そのいずれが正しいかは容易に決定せられ得る。それは単に出生数または死亡数のみを取扱っていたのでは明かにされ得ない。人口は生活資料によって終局的並びに総括的に規定されるのであるから、この生活資料の増減に着眼すれば、人口の増加は同時に明かにされるであろう。そして生活資料の増加を考えるならば、人口が減退して来ているとは決して云い得ないのである1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Ibid., ch. IV.
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さてひるがえって考えるに、人口にかくの如き秩序があるとすれば、それは一切の改善の努力を無に帰せしめるものであり、従ってこれは人間に絶望を教えるものではないであろうか。しかしこれは事実ではない。反対にこのことはかえって人間を覚醒せしめるものである。怠惰なものは生存し得ず勤勉と努力に対してのみ報いが与えられるということは、かえって人に大きな希望を与える。しかも必要は発明の母であり、従ってこれによって人類はますます進歩して行くこととなるのである1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」
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