その俗人中の俗人であるから、なるべく低き所に店を持つことが必要である。土地の高い所には決して大商店は発達せぬものである。これは一種の心理作用から来るものと見え、誰しも買物になど出かける時には、我が居宅から低い方へ行き易く、高い方へは容易に足が進まぬものであるから、とかく低い所が商店としては繁昌するようである。東京、横浜、大阪神戸なども、ことごとく下町に商店が集っていて、山の手は学者官吏などの住所であるゆえに、高低のある地であるならば、なるべく低き所を選まねばならぬ。
○あまり広き路幅の所は店が淋しく見え、夏は日光が強く照らすように思われ、冬は寒そうに感ぜられて、道行も幅の狭い街へ避けようとする傾きがある。これはひとり人間ばかりでなく、魚の泳ぐ所を見てもやはり物の陰に集まろうとしている。それゆえ市区改正のために商業上大打撃を受けた実例は到る所にある。路幅の広い街さえすでにかくの如くであるから、片側町の繁昌しないのは申すまでもない。
○坂町も禁物である。人は坂を上らんとする時は必ずやっとの思いで頂上に達せんとあせるものゆえ、途中の商店に眼を配る暇がない。下る時も同様である。馬なども坂路は非
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