見当違いである。また道幅と間口との関係がある。例えば銀座通りの如き道幅の広い所では、間口の狭い店ではとうてい人の目を引くことは出来ない。下谷仲町、本郷森川町、牛込通寺町の如き道幅の狭い所では間口二間くらいでも十分に客を引くことが出来る。畢竟するに間口は資本に応じなくてはならん。資本が少ないのにいたずらに間口の大きい家では、店が寂しくて、とうてい客を引くことは出来ないわけである。ゆえに家を選定するには、まずこの辺の事情を十分参酌しなくてはならん。これらはその店が繁昌するか衰亡するかに少なからぬ関係を有している。

    五、地方の事情を以って東京を律せんとする

 東京と地方との事情の相違点について注意すべきは、地方では物価の安値ということが信用を博する唯一の手段であるけれども、東京ではむしろ商品の精良ということを主としなくてはならん。地方ならばあの店は安いとの評判が立てば、一厘二厘の相違で三丁五丁の道を厭わずに買いに行くくらいであるけれども、東京では便利ということが主となっており、かつ周囲がきわめて複雑であるために、多少の安値くらいで客の足を引き寄するは決して容易ではない。その中には
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