杯で三時間も居られたのでは、一杯のコーヒーを五十銭に売ってもまだ足りない。自分の胸算用では決して儲っていないと考え、その後土地の人にきいて見たところ、果せるかな私の見込み通りで「この向う角のコーヒー店の如きも昨年から店をしめて居ますが、まだ借り手がありません」との事であった。
 日本より三倍四倍も高い金をとっても、一杯のコーヒーで三四時間も居られたのでは、さすがの喫茶店も廃業するに至るのはあたりまえで、他の立派な喫茶店も内幕は中々苦しいようでありました。

    公園が賑うのも喫茶店の繁昌するのも同じ理由

 しかしどこの喫茶店も大入満員で繁昌して居ることは事実です。よって私は繁昌する原因と、繁昌しても儲からない原因を研究して見たのであります。
 前にも話しました通り、彼方の家はたいがいアパートメントになって居ります。日本に出来ているアパートメントの多くは各部屋が事務所に使用されて居りますが、彼方ではその蜂の巣の様な各部屋を住宅として、沢山の人が住んでいるので、各階の各室とも窓が二つくらいしかない。錠前付の出入口が廊下に並んでいて、何百何十号という部屋番号が付いていて、はなはだ殺風景
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