顧客にしているから品物も上等です」との話だったので、早速ランプルメーヤーに出かけて試食したところ、この店の菓子はクリームも新鮮で、味も非常にすぐれていた。しかし菓子の値段はおよそライオンの二倍の高値であった。
 それでも店の繁昌している所を見ると、ロンドン人の舌も全く馬鹿にしたものではないと思ったが、それにしてもあの盛大なライオンが半腐敗のクリーム菓子を平気で売っており、またロンドン人の多数が平気で食べている理由がちょっと分らなかった。
 ところがその後欧州諸国を巡遊してデンマーク国に行き、同国の農業と乳製品の事を調べて、はじめてロンドンの菓子のまずい原因が分った。
 すなわちロンドン人の食べるクリームとかバターは、デンマーク国から供給されて居るもので、デンマーク国の乳製品はロンドンに到着するのに一昼夜半かかるのであった。
 生クリームは七十七度の温度で一昼夜しか保証できないほど腐敗し易いものであるから、ロンドンに到着して菓子に製造される時は、半腐敗の状態になっているのは当然のことである。半腐敗のクリームをロンドン人が食べているということは不思議のようであるが、例えて言えば、自分の生国
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