ものではないと思う。私の店は三十年の間に、ちょうど売上げが二百倍になったが、私は正札主義で、どのようなことがあっても割引はしない。それでずいぶんお客様の感情を損ねた場合もあるが、その代り、もうこれより勉強の出来ないぎりぎりの決着の値をつける。いくら頑固に、俺の所は負けないと言っていても、他の店より高い値をつけておけば、誰も買いに来なくなってしまう。正札という事と最大の勉強ということとは、ぜひ一緒に行わねばならぬ。そういうふうにすればさらにやましい所はないのだからやたらに小さくへり下る必要はない。お客様に対して良い物を安く売ってあげるのだという腹があるからお客様の無理に対して、ヘイ御無理御もっともという必要はない。あまり無理をいうお客ならこちらからお断りする。そういう底力があったならば、自然そこに強味と自信が出来る。お客様の方でもやはり頼もしい、ああいうふうに確信を持っている店なら必ず高くはなかろう。我々を引っかける事はなかろうという信用が出来ますから、店はますます繁昌する。

    無料配達廃止

 そこで正札制をやって、断じて割引の出来ない値段を発表しますと、無料配達というようなこ
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