る事業もまた必ずしもないではない。しからば如何なる種類の商売が最も利益の多いものであるか。すなわち、
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第一、莫大な資本を要する事業であって、普通人のこれに対抗することの出来ない商売。
第二、専売特許的のもので他に同業者のないもの。
第三、遠隔せる交通不便の土地から輸入するもの。
第四、特に多年の練習と熟達とを要するもの。
第五、危険の伴うもの、すなわち、株式、相場、投機のもの。
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 等、すべて多大の資力と非凡奇抜な大力量とを要する事業は、その利益も従って多大のものであるゆえにもしある事業を企画する人は、予め自分の力量と資本とを量り、これに準じて薄利でも比較的安全なものを選ぶか、あるいは非常な危険を冒し、困難に遇っても利多く男らしき事業をとるかを決すべきである。

    名物にうまいものなし

 すべて名物とは、都といわず鄙といわず、ある時代にある奇抜な人が意匠をこらし、新考案を加えて、その時代の人の嗜好によく適合したものを製造して売出したものなれば、その当時にあっては確かにうまい物に違いはなかったのである。しかしそれが四方の人に知れて一の名物として賞讃されるには、三年五年ないし十年二十年の歳月を要する。しかるに人々の嗜好は年一年変化して止まないのみならず、贅沢に傾きていっそううまきものを要求するがゆえに、すでに名物として世に謳われる頃には時勢に後ること、これは免れ難き事実である。人間にあっても、名士か元老とか大将とかいわれて、万人に尊敬される頃には、多くは時勢後れの飾り物となって、実際の仕事は無名の少壮者が担任しているのが一般である。一駄菓子や掛物をもって足れりとした時代は、すでに遠き過去となり、次に餅菓子時代が来たが、これもようよう洋菓子に圧倒されかかって来た現状である。かくの如く、人間の飲食物に対する嗜好は年々歳々高尚に趣くから、昔からの名物というその名に恋々として改良を加えなければ、終に名物にうまい物なしとの一言の下に冷笑されてしまう。
 それでもし昔からの名物なるものを継続させんとするならば、社会の進歩発達に伴って品質を精選すべきはもちろん、なおこれに斬新なる趣向を加え、もってその時代の嗜好に適するように工夫せねばならぬ。
 また店の飾り方や家の構造は料理屋などであるならば、客室の間取りな
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