に比して内容技巧二つながらすぐれたものであることは、画面のサインによっても判ることでしょう。ことに故荻原碌山の彫刻絵画、故柳敬助氏(この方は販売部主任山田健三氏の従兄でした)、故中村|彝《つね》氏等いずれももとは中村屋の屋敷内に起臥し、食卓を共にした人々であり、じつに堂々たる美術家揃いでありました。詳しいことは「黙移」の中で述べています。
いま喫茶部で使用しているブロンズの灰皿は、私の希望で碌山氏が粘土で作りかけ、出来上がらぬうちに氏は世を去りましたので、友人たちが故人の触《タッチ》を毀わさず残そうと、未成品のままブロンズにして永久に作者を偲ぶことにしたのです。鋳造を同郷の人山本安曇氏に依頼する時、碌山の遺族に二個、相馬家に二個、ほかに中村屋の分として一号より二十五号までナンバーを裏面に打ちこみ、非売品として喫茶部に備えたのでしたが、いつのまにか一個減り二個減りして、現在は十個ほど不足になっています。誰の手に持ち去られたものか、花ぬすびと同様ゆるしてのみいられぬところもあり、また失われるごとに係の者が責任を問われるので、最近は宴会の席以外には出さないことにしてしまいました。まことに不
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