迫して、学校の方も学課がむつかしくなり、また真剣に学ばなければ競争上やって行けないというようなことになり、我が中村屋も以前よりは幾倍忙しくなって、店に働きながら夜学に通うことはどうも無理だと考えているうちに、夜学に行く者はだいぶ健康を損じて、そのうちには死ぬ者さえも出たので、これではならぬ、二兎を追う者は一兎を獲ずという諺の通りで、学問もしよう、店の仕事もおぼえようというのでは双方とも駄目であると分ったので、学問をしたいものは他所に行き、商売に志すものは業務に専心すべしとして、十年ほど前から夜学に通うことを禁じてしまった。
 その結果病人は少なくなり、健康状態は著しく良くなったけれども、最近中村屋も、以前の十二、三時間も働いたのを十時間制に改めて、少しく時間に余裕が出来たところから、ひそかに会話等を習いに行く者もあると聞いたので、若い者の学問をしたいというこの希望の若干を叶《かな》えてやりたい、健康を悪くしない程度で、と考え、ようやくその案が立ち、またきわめて適任な先生が見当ったので、仕事のかたわらその休み時間を利用して学問を少しさせようじゃないかと、今度この学院を建てることにしたわけ
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