残し置きたまへしを、我はいつしか友とも師とも仰ぎ見つ。今はこれに心の煩ひも跡なく拭ひ去られたれど、さすがに大名縞の頃の、浅木様のみは忘られかねて、今はよしその人としも思はれぬ方様にあれ、せめてはこの書《ふみ》見せまして、もとの浅木様に立帰らせましたしとの願ひ、ともすれば起こるを、あながち清き心よりの望みとのみ思はれぬ一ツぞ今はの憾みなる……。(『文芸倶楽部』一八九七年五月)
底本:「紫琴全集 全一巻」草土文化
1983(昭和58)年5月10日第1刷発行
初出:「文芸倶楽部」
1897(明治30)年5月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:門田裕志、小林繁雄
校正:松永正敏
2004年9月20日作成
2005年10月31日修正
青空文庫作成ファイル:
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