いて知っていましたから、そのとき、ずんずんお城の中へはいって行って、
「ご近所《きんじょ》を通りかかりましたのに、あなた様のごきげんもうかがわずに、だまって通る法《ほう》はございませんので、おじゃまにあがりました。」と、さも心から、うやまっているように申しました。
 それを聞いた人くい鬼は、すっかり喜んで、人くい鬼そうおうなれいぎで、猫吉をもてなしました。
 さて、ゆっくり休ませてもらったところで、猫吉は、おそるおそる、
「あなた様は、ごじぶんでなろうとおもえば、どんなけもののすがたにもおなりになれるのだそうでございますが、それでは、しし[#「しし」に傍点]とかぞう[#「ぞう」に傍点]とかいったような、あんな大きなけものにもおなりになれるのでございますか。」と、たずねました。
 すると、人くい鬼は、早口に、
「なれなくってさ。なれなくってさ。よしよし、うそでないしょうこに、ひとつ、ししになって見せてやろう。」
 こういって、いきなりししになってしまいました。猫はすぐ鼻のさきに、大きなししがふいにあらわれたので、あわてて、長ぐつのまま、あぶないもこわいもなく、軒《のき》のかけひ[#「かけ
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