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 民主主義は、國民が、みんなでみんなのために國を治めてゆくことです。しかし、國民の数はたいへん多いのですから、だれかが、國民ぜんたいに代わって國の仕事をするよりほかはありません。この國民に代わるものが「國会」です。まえにも申しましたように、國民は國を治めてゆく力、すなわち主権をもっているのです。この主権をもっている國民に代わるものが國会ですから、國会は國でいちばん高い位にあるもので、これを「最高機関」といいます。「機関」というのは、ちょうど人間に手足があるように、國の仕事をいろ/\分けてする役目のあるものという意味です。國には、いろ/\なはたらきをする機関があります。あとでのべる内閣も、裁判所も、みな國の機関です。しかし國会は、その中でいちばん高い位にあるのです。それは國民ぜんたいを代表しているからです。
 國の仕事はたいへん多いのですが、これを分けてみると、だいたい三つに分かれるのです。その第一は、國のいろ/\の規則をこしらえる仕事で、これを「立法」というのです。第二は、爭いごとをさばいたり、罪があるかないかをきめる仕事で、これを「司法」というのです。ふつうに裁判といっているのはこれです。第三は、この「立法」と「司法」とをのぞいたいろ/\の仕事で、これをひとまとめにして「行政」といいます。國会は、この三つのうち、どれをするかといえば、立法をうけもっている機関であります。司法は、裁判所がうけもっています。行政は、内閣と、その下にある、たくさんの役所がうけもっています。
 國会は、立法という仕事をうけもっていますから、國の規則はみな國会がこしらえるのです。國会のこしらえる國の規則を「法律」といいます。みなさんは、法律ということばをよくきくことがあるでしょう。しかし、國会で法律をこしらえるのには、いろ/\手つづきがいりますから、あまりこま/″\した規則までこしらえることはできません。そこで憲法は、ある場合には、國会でないほかの機関、たとえば内閣が、國の規則をこしらえることをゆるしています。これを「命令」といいます。
 しかし、國の規則は、なるべく國会でこしらえるのがよいのです。なぜならば、國会は、國民がえらんだ議員のあつまりで、國民の意見がいちばんよくわかっているからです。そこで、あたらしい憲法は、國の規則は、ただ國会だけがこしらえるということにしました
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