二人は笑ったり押合ったり揉み苦茶になって立去った。
單四嫂子はもう睡ってしまった。老拱等が出て行ったので咸亨酒店は店を閉めた。この時魯鎮は全く静寂の中に落ち、ただこの暗夜が明日《あす》に成り変ることを想わせるが、この静寂の中にもなお奔《はし》る波がある。別に幾つかの犬がある。これも暗闇に躱《かく》れてオーオーと啼く。
[#地から3字上げ](一九二〇年六月)
底本:「魯迅全集」改造社
1932(昭和7)年11月18日発行
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。
その際、以下の置き換えをおこないました。
「愈々→いよいよ 大凡→おおよそ 却って→かえって 位→くらい 呉れ→くれ 極く→ごく 此→この 而も→しかも 暫く→しばらく 其→その 慥かに→たしかに 只→ただ 忽ち→たちまち 丁度→ちょうど て戴く→ていただく て仕舞う→てしまう 何処→どこ 尚ほ→なお 中々→なかなか 殆んど→ほとんど 先づ→まず 亦・又→また 未だ→まだ 丸で→まるで 貰→もら 漸く→ようやく」
※底本は総ルビですが、一部を省きました。
入力:京都大学電子テクスト研究会入力班(加藤祐介)
校正:京都大学電子テクスト研究会校正班(大久保ゆう)
2004年3月21日作成
青空文庫作成ファイル:
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