択するのに、非常に悧巧である。しかし彼等は、俄にスローガンを改め、彼等こそ女※[#「女+咼」、第3水準1−15−89]の直系であるといい、同時に大旗の文字を「女※[#「女+咼」、第3水準1−15−89]氏の腸」と書き換えた。
あの海岸に落ちた年老いた道士も、幾千代《いくちよ》永らえたが、死際《しにぎわ》になって、仙山が大きい鼈《すっぽん》の背に載せられたという要件を、弟子に伝え、弟子はまたその弟子に伝えたが、後世になって一人の方士が好いことをしようとして、秦の始皇に上奏し、秦の始皇は方士に命じてこれを探しめた。
方士が仙山を探し当てないで、秦の始皇は遂に死んだ、漢の武帝もまたこれを探さしたが、これまた影さえも見つからない。
たぶん、大きな鼈どもは、女※[#「女+咼」、第3水準1−15−89]の話が判らないで、そのとき何かの機《はずみ》でちょっと肯き、よい加減にしばらくの間背負っていった後で、皆睡くなって散り散りに別れたので、仙山もそれにつれて沈んでしまったのであろう。それゆえ、神仙山の半分も見たものはなく、精々幾つかの野蛮の島を発見したにすぎないのである。
[#地から4字上げ](一九二二年十一月)
底本:「魯迅全集」改造社
1932(昭和7)年11月18日発行
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。
その際、以下の書き換えをおこないました。
「嗚呼→ああ 恰も→あたかも 或る→ある 如何→いかん 一向→いっこう 一層→いっそう 且つ→かつ 曾て→かつて 如く→ごとく 此の→この 暫く→しばらく 仕舞う→しまう 頗る→すこぶる 其→その 沢山→たくさん 只→ただ 惟だ→ただ 忽ち→たちまち 多分→たぶん 給→たま 一寸→ちょっと 丁度→ちょうど 何故→なぜ 筈→はず 程→ほど 殆ど→ほとんど 亦→また 復た→また 未だ→まだ (て)見→み 勿論→もちろん 稍々→やや 故→ゆえ 漸く→ようやく 余程→よほど」
※底本は総ルビですが、一部を省きました。
入力:京都大学電子テクスト研究会入力班(鈴樹尚志)
校正:京都大学電子テクスト研究会校正班(大久保ゆう)
2007年5月6日作成
青空文庫作成ファイル:
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