る。
凄風冷雨《せいふうれいう》のこの一日が来てから、教員等は政府に未払月給を請求したので、新華門前の泥々の中で軍隊に打たれ、頭を破り、血だらけになった後で、たしかに何程かの月給が渡った。方玄綽は手を一つ動かさずにお金を受取った。古い借金を少し片づけたがまだなかなか大ものが残っていた。それは官俸の方がすこぶる停滞していたからで、こうなるといくら清廉潔白の官吏でも、月給を催促しないではいられない。ましてや教員を兼ねた方玄綽は、自然教育会に同情を表することになった。だから衆《みな》が罷業の継続を主張すると、彼はまだ一度もその場に臨んだことはないが、しんから悦服して公共の決議を守った。
それはそうと政府は遂に金を払った。学校もまた開校した。ところがその二三日|前《ぜん》に、學生聯盟は政府に一文を上程し、「教員が授業しなかったら未払月給を渡す必要はない」と言った。これは少しも効力がなかったが、方玄綽は前の「授業すればお金をやる」という政府の言葉を思い出し、「大差無し」の一つの影が眼の前に浮び出し、どうしても消滅しない。そこで彼は講堂の上で公表した。
右の通りこの「大差なし」を煎じ詰めると
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