、その後に二人の男が老婦人を曳いてくる。老婦人は救いを求めている。
その先頭の男はショルムスであった。老婦人はもう髪の毛は真白《まっしろ》であった。顔色が真蒼である。
四人は近づいてくる。
その時、つかつかと現われたルパンはぴたりとその行手に立ち塞がった。
怪人と巨人!それは物凄い有様である。二人は眼と眼で睨み合った。どちらも動かない。
ルパンは恐ろしいほど落ちついて口を切る。
「その婦人を放せ!」
「ならん!」
そのまま二人はまたしばらく睨み合っている。レイモンドはそれを見て、気が狂いそうに心配する。その腕をボートルレはしっかりと押えている。
しばらくしてまたルパンが繰り返した。
「その婦人を放せ!」
「ならん!」
もう仕方がない、ルパンはポケットに手を入れてピストルを掴んだ。その時早く、ショルムスもまたピストルをルパンの眼の前に突きつけた。その時ふとショルムスは、傍に立っているレイモンドの姿を見てはっとした。
この油断を見たルパンは、手をあげたと思うと、撃《ぶ》っ放した。
「しまった!」と叫んだ。ショルムスは腕を撃たれてどっと倒れながら、部下に向って叫んだ。
「撃
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