らもう一つ、南の海には、龍涎香《りゅうぜんこう》といって、大きなくらげのようなかたまりが、海にういているのを拾うことがある。また、無人島の海岸に打ちあげられているのを、発見することもあるのだ。
これは、まっこう鯨の体内から出るもので、香水の原料となる。それが、たいへん高価なもので、品質によっては、一グラムの価《あたい》が、金一グラムにひとしいものもある。そして、百キログラムぐらいの大きなかたまりもあった。
こんなのを、二つ三つ拾えるかもしれない、と、こんなことも考えていた。じっさい、昔から、大きなかたまりをひろった話は、すくなくないのだ。
探検船の準備
船が、大洋に乗りだしたら、何ヵ月も陸地につかず、また、どんな大しけ[#「しけ」に傍点]にあっても、それにたえて行かなければならない。出船の準備は、第一に、船体を丈夫に修繕し、船具は強いものと取りかえた。
ひろい海を航海するのに、なくてはならぬ海図と、海や島や海流のことなど、くわしく説明してある海の案内書、すなわち水路誌。船の位置を計る、各種の航海用精密機械は、外国からも取りよせたり、海軍や商船学校からも借りた。六分儀《
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