きます」
といって、三人が二、三歩あるきだした。その時だ。見はりやぐらの頂上で、
「あっ」
という、とほうもない大きなさけびが、ただ一声。大声の持主、川口が、せいいっぱいの雷声を出したのだ。とつぜんのことで、みんな、びっくりした。ただごとではない。
「なんだ」
「どうした」
十五人が、いっせいに見あげるやぐらの頂上では、川口が、もう一声も出せず、うでをつき出して、めちゃめちゃに足場板をふみならしているではないか。それを一目見て、
「気がちがったっ」
ぎょっとしたみんなは、その場に、立ちすくんでしまった。
船だ
川口が、気がちがったようにつき出したうでにみちびかれて、沖に目をうつすと、はるか水平線のあなたに、とても小さいが、くっきりと、スクーナー型帆船《がたはんせん》の帆が見えるではないか。
「あっ」
こんどは地上の十何人が、だれもかも、手にしたものをほうり出して、とびあがった。
「たいへんだっ、船だっ」
「それっ。信号だっ、火だっ」
「伝馬《てんま》っ」
総員は、右に左に、それこそとびちがうように走って、非常配置の部署についた。それが、またたくまに、みごとにてき
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