箸《はし》をおいて、大いそぎで、雨水をためるように、風よけ幕を、外の方へはり出した。こうして、小屋の屋根に降る雨水が、石油|缶《かん》にどんどんたまるのを、楽しく見ながら、また食事が、にぎやかにつづくのであった。
この日の午後は、雨の日の例によって、茶話会である。漁業長の捕鯨の話、帰化人|範多銃太郎《はんたじゅうたろう》のラッコ猟の話、それにつづいて、小笠原老人が、午前中に流した銅板のはがきにつながりのある、船と郵便の話をした。
おいらたちのわかいじぶん、捕鯨帆船は、一年ぐらいはどこへも船をよせずに、大海原を、あっちこっちと、鯨を追っかけて航海していたものだ。故郷や友だちへ手紙を出すことなんか、だれも考えていなかった。それでも太平洋には、郵便局が一つあった。
それは、南アメリカのエクアドルの海岸から、西の方へ六百カイリのところ、太平洋の赤道直下に、火山の島々、ガラパコ諸島がある。それは、十何個の島を主とした、六十ばかりの火山島の集まりで、スペイン人が発見した諸島だ。
ガラパコというのは、陸に住む大がめのことで、このかめは、陸かめのなかでいちばん大きなかめで、こうらの直径一メ
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