、どっちがたしかかなあ――」
思い思いのことをいった。
浅野練習生が、とつぜん大きな声で、
「あの鳥がいると、昔話のとおりだがなあ……」
その声に、水夫長は、びっくりしたような顔をして、ふりむいて、
「なんだい。昔話のあの鳥というのは、わけがありそうだな。教えてくれよ」
知らないことは、なんでも、だれにでも聞こうとするのは水夫長のいい心がけだ。私がいつであったか、「聞くはいっときの恥。知らぬは末代の恥」という話をしたことがある。それからずっと、私の話のとおりに実行しているのだ。
「話はばかに古くって、長いのだよ」
「じゃあ、みんな、ゆっくり砂にあぐらをかいて、聞かせてもらおう」
この連中は、このように、おりにふれ、事にあたって、研究したり、わけを知ろうとする心がけの人ばかりであった。
浜に円陣をつくって、あぐらをかいた人たちに、浅野練習生は話しはじめた。
「ずっとまえに、修身の本で読んだ話です。今から二千年も前、漢の国に、蘇武《そぶ》という人があって、皇帝の使者として、北の方の匈奴《きょうど》という国へ行った。ところが匈奴では蘇武をつかまえてこうさんしてけらいになれといった
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