きれをより出して、これに銅板を釘でうちつけ、鉄釘の先をとがらせたものを、ペンのかわりにして、この銅板に、「パール・エンド・ハーミーズ礁、龍睡丸《りゅうすいまう》難破、全員十六名生存、救助を乞《こ》う。明治三十二年六月二十一日」
と、私が日本文で書き、また、おなじ意味を、帰化人の小笠原《おがさわら》に、英文で書かせた。この銅板の手紙(流し文《ぶみ》)を、海に流そうというのだ。
みんなで、伝馬船《てんません》を沖に漕《こ》ぎ出して、それを流した。
「銅の手紙よ、はやく、どこかへついてくれ。だれかにひろわれてくれ。たのむぞ――おまえには、十六人の、心をこめた願いがかけられているのだ……」
一枚、一枚、海に流すたびに、伝馬船の上から見送りながら、みんな祈った。
しかし、この流し文を配達してくれるのは、海流の郵便屋さんだ。いつ、どこへ配達してくれることか。流したところは、太平洋のまんなかで、横浜へも、アメリカのサンフランシスコへも、おおよそ五千キロメートルはある。しかし、海水のつづくかぎり、いつかどこかへ、流れつくにちがいない。風も手つだって、ふき送ってくれるだろう。流し文に、みんなは、
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