ちの用意させい! おこよどのも参られよ」
あい、とばかりに、おこよは泣き喜びながら、子持ちすずりをしっかとかかえて、なわつきのふたりのあとを追いました。
「うれしいことになりゃがったね」
見ながめて、伝六がくすりとやりました。
「でも、ちょっとあっしゃ気になることがあるんだがね」
「なんだよ」
「あの美しいおこよさん。うれしそうに子持ちすずりを抱いていったはいいが、きょうから赤い信女のおひとり者になるんだ。どんな仏さまから子宝を授かるかと思うと、気がもめるんですよ」
しかし、名人はにこりとも、くすりともせずに、黙々ともう五、六間先でした。
底本:「右門捕物帖(四)」春陽文庫、春陽堂書店
1982(昭和57)年9月15日新装第1刷発行
※誤記は、『右門捕物帖 第四巻』新潮文庫と対照して、訂正した。
入力:tatsuki
校正:はやしだかずこ
2000年4月20日公開
2005年9月24日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランテ
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