右門捕物帖
袈裟切り太夫
佐々木味津三
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)二十日《はつか》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)両国|河岸《がし》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「てへん+僉」、第3水準1−84−94]校《けんぎょう》
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1
――このたびはその第十九番てがら。
前回の名月騒動が、あのとおりあっけなさすぎるほどぞうさなくかたづきましたので、その埋め合わせというわけでもありますまいが、事の端を発しましたのは、あれから五日とたたないまもなくでした。もちろん旧暦ですから、九月も二十日《はつか》を越えると、大江戸もこれからがもみじの秋で、上野のお山の枝々こずえに、ちらほらとにしき模様が見えるようになるといっしょで、決まったように繁盛しだすのは浅草と両国|河岸《がし》の見せ物小屋です。このとき浅草で評判とったのが、上方下りの生き人形に、隼伝之丞《はやぶさでんのじょう》の居合い抜き、両国河岸のほうでは、
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