せつつねじあげておくと、ずばりしかりつけました。
「バカ者どもめがッ。おおかたこう来るだろうと思うて、わざと引き揚げるように見せかけたんだッ。さ! こっちの梅丸でもいい。またはそっちの百面相でもいい! ほんもののむっつり右門にかかっちゃ、おめえたちの下司《げす》の知恵ぐれえで、とてもたち打ちできねえんだから、すっぱりどろを吐いてしまいねえな」
ふたりして高飛びしようとした現場を押えられましたものでしたから、ついに強情娘も口を割ってしまいました。
「――まことに恐れ入りました。おめがねどおり、親方を殺した下手人は、いかにも、この梅丸でござります。と申しあげただけではさぞかしご不審でござりましょうが、実のところを申しますると、それもこれもみんな女のあさましいねたみからでござりました。もともとを申しますれば、わたしのほうがずっとまえから、この娘一座では姉分でもござりましたし、いくらかよけい人気もいただいておりましたのに、あの桜丸様がわたくし同様、竹棒渡りをいたしますようになりましてから、日に日に人気負けがいたしましたゆえ、そのことを親方さまに申しあげて、あすから役替えしていただくようにお願
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