をいう豆僧だなと思いましたからね、だって、このつり鐘がくまの形も犬のかっこうもしていねえじゃねえかってきいてやったら、あたりめえだい、つり鐘がくまやこまいぬのかっこうしていたら、おじさんの頭はとっくに三角のはずだいって、こんなことをいうんですよ」
「ほほう、なかなか達者だな。じゃ、なんだっていうんだな。そのつり鐘をけいこ台にして、剣術のけいこでもしていたっていうんだな」
「そ、そうなんですよ。だから、いよいよいわくがありそうだなと思いやしたから、どこにそのくまがいるんだってきいてやったら、どこにいるかわからねえが、うちのたいせつなあんちゃんがそのくまに殺されたから、それでかたきを取るためこうやって、毎日けいこしているんだっていうのでね、ひょっとすると、こいつあまただんなの畑だなと気がついたものだから、何はともあれいっぺんおめがねにかけなくちゃと思って、わざわざひっぱってきたんですよ」
「そうか、なかなか禅味のある話でおもしれえや。蛇《じゃ》が出るか蛇《へび》が出るか知らねえが、じゃおれがひとつ当たってやろう」
すでになにか見抜いたところでもあるかのごとく、右門はまず一服というようにし
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