右門捕物帖
青眉の女
佐々木味津三

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)忍《おし》の

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)早|駕籠《かご》だッ

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#感嘆符疑問符、1−8−78]
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     1

 ――その第四番てがらです。
 すでにもうご承知のごとく、われわれの親愛なる人気役者は、あれほどの美丈夫でありながら、女のことになると、むしろ憎いほどにも情がこわくて、前回の忍《おし》の城下の捕物《とりもの》中でも、はっきりとそのことをお話ししておいたとおり、尋常な女では容易なことに落城いたしませんので、右門を向こうへ回してぬれ場やいろごとを知ろうとするなら、小野小町か巴御前《ともえごぜん》でも再来しないかぎり、とうてい困難のようでございますが、まてば海路のひより――いや、捕物怪奇談でございますから、海路ではなくて怪路のひよりとでもしゃれたほうがいきでしょう。それほどの石部《いしべ》金吉なむっつり右門が、
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