よって教室に持ちこまれるということは、呼び出される生徒にとって、いつも極めて重大な意義をもっていたのである。
次郎は、教室を出るまえに、机の中の自分の持物をのこらず雑嚢にしまいこんだ。それがまたみんなの注目をひいた。彼はその雑嚢を肩にかけると、ほとんど無表情に近い顔をして生徒たちを見まわし、それから先生におじぎをして教室を出て行ったが、その様子には、先生も生徒たちも何か異様な圧迫を感じたらしく、彼の足音がきこえなくなるまで教室は水の底のように静まりかえっていた。
次郎を呼び出したのは、学級主任の黒田先生だった。次郎は、この先生とはふだん特別の深い交渉はなかったが、現在の先生の中では一番いい先生だと思っていた。で、即刻召喚の紙片を手にした瞬間、この先生が自分の学級主任であってくれてよかった、という気がしたのだった。
次郎の顔を見ると、黒田先生はすぐ自分の席を立って、彼を監督室の隣の室につれて行った。宝鏡先生の事件以来、この室にはいるのは四年ぶりである。テーブルには相変らず虫のくった青毛氈《あおもうせん》がかけてあり、「思無邪」と書いた正面の額も、昔どおりであった。
二人が腰をおろ
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