て、じっと縁板の一点を見つめていた。
「俊亮も、何か学校で試験があるのかい。」
 お祖母さんが、けげんそうな顔をして、ひょっくりたずねた。
 みんなが一度にふき出した。次郎は、しかし、ちょっと苦笑しただけで、またすぐ眼をふせた。

    一五 明暗交錯

 翌日、学校では、もう朝から、朝倉先生が駅で憲兵に取調べられたことや、次郎が駅からの帰りに曾根少佐に呼びつけられたことなどが、生徒間の噂の種になっていた。そしてその原因が、白鳥会員だけで催《もよお》された朝倉先生の「秘密な」送別会にあったということは、一部の生徒の次郎に対する淡い反感の種になっているらしかった。
「白鳥会で朝倉先生を独占しようなんて考えるのが、第一まちがっているよ。」
「本田は、はじめっからそんな考えでやっていたにちがいないんだ。血書を書いたことだって、新賀のほかには誰も知ったものはいなかったんだろう。」
「要するに今のさわぎは白鳥会のために起ったようなものさ。」
「白鳥会のためならまだいいが、本田個人のためだったんじゃないかな。」
「そんなことを考えると、何だかばかばかしくなって来るね。」
「しかし、もうすんだこと
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