見もありましょうが、さきほどあなたご自身でもお認めのとおり、血書とか血判とかいうことは、とにかくおだやかでありませんし、それに第一、知事さんを相手にしているという点が、中学生らしくない、非常にませたやり方で、背後に何か思想的な関係がありはしないか、というような疑問も、自然、そういうところから生じて来るのではないかと思います。で、いかがでしょう。あの陳情書だけは、ともかくも一応徹回させるように、おたがいに尽力してみましては。」
「承知いたしました。」
と、俊亮は案外あっさりと答えたが、
「ただ、さきほど課長さんにも申上げましたように、それにはある限度がありますので、その点はあらかじめご承知おき願います。」
「その限度とおっしゃる意味は?」
「実は、せがれ自身、今では、血書を書いたのを多少恥じているようにも見うけますので、本人だけなら、むしろ喜んで撤回する気になるかも知れません。しかし、あの血書は、もうせがれ一人のものではなくなっていますし、自分が書いたから自分の勝手になる、というものではありません。ことに、沢山の生徒が血判までやっているとしますと、今さら撤回するなどとせがれが言い出しま
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