「うむ、何だ。」
「革新のためなら暴力を用いてもいいんですか。」
「いいということはない。しかし、国家のためにやむを得ない場合もあるだろう。」
「自分でやむを得ないと思ったらそれでいいんですか。」
 西山教頭は答えにまごついた。すると曾根少佐がどなるように言った。
「ほんとうに国家のためと信ずるなら、いいにきまっている。」
 次郎は皮肉なほど落ちついて、
「学校のためだったら、どうでしょう。やはりいいんですか。」
「それもほんとうに学校のためになるなら、いいとも、少しぐらいやるがいい。」
 曾根少佐は、これまでに何度か生徒にビンタをくらわしたことがあるのである。
「じゃあ、ストライキはどうでしょう。」
 生徒たちは、はっとしたように、一せいに視線を次郎に集中した。曾根少佐は眼玉をぎょろりと光らして、
「ストライキ? それがどうしたというんだ。」
「僕はストライキは一種の脅迫だと思います。つまり形のちがった暴力です。学校革新のためなら、暴力を用いてもいいとすると、ストライキもいいんじゃありませんか。」
「ぱかなことを言うんじゃない。ストライキは多数をたのむ卑怯者のやることだ。そんなこと
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