たずらは、もうきょうで三度目で、いつも一心橋の向こうの土手のかげにねころんだりして、道江の帰りを待伏せている。最初の時は、だしぬけに彼女を呼びとめて手紙を渡した。道江がすぐそれを投げすてると、彼はあわててそれをひろいながら、何かおどかすようなことを言った。二度目は、しつこく道江のそばにくっついて歩きながら、いろんないやらしいことを言い、村の入口近くになっていきなり彼女の手を握ろうとしたが、彼女は大声を立てて逃げた。そしてきょうは三度目だが、道江の方で警戒していて、馬田のいるのがわかったので、すぐ橋を引きかえしてこちらに逃げて来た、というのである。
 道江は敏子が話している間、さほど深刻な表情もしていなかった。次郎はそれが物足りなくもあり、腹立たしくもあった。彼の家の二階で馬田と出っくわした時の様子から判断して、彼女が馬田をひどくきらっていることだけはたしかである。しかし、ただ馬田という人間をきらっているというだけではたよりない。こうしたことについては、女性の立場から、とりわけ純潔な処女の立場から、たえがたいほどの侮辱と憤りとを感じなければならないはずである。彼にはそう思えてならないのだ
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