むろん。」
「論旨って何だい。」
「論旨退学の論旨だよ。」
「先生にもそんなことがあるんだね。」
「あるとも、それがなくって自分からやめる先生なんて、ありゃせんよ。」
「しかし、ホウキョウ・ホウシュン、かわいそうだな。はやく転任でもすりゃいいのに。」
「転任したって、またすぐ駄目になるさ。」
「どうせ引きうける学校もないだろう。」
「やっぱり山伏をやる方が似合っているよ。」
 生徒たちは、そんなことを言っては、笑ったり手をたたいたりした。次郎は、聞いているのがつらくなり、急いでその場をはずした。
 教室に入ってみると、もうそこでも、宝鏡先生のことでみんながわいわいさわいでいた。そして、次郎の顔を見ると、
「やあ、本田が来た、来た。」
「掲示を見たか。」
「どうだ、痛快だろう。」
 などと、くちぐちに次郎に祝意を表するようなことを言うのだった。
 次郎は、しかし、にこりともしないで自分の席に腰をおろした。そして、雑嚢を机の上に置くと、そのまま頬杖をついて、眼を黒板の方に注いだ。
「どうしたい、本田。」
 と、二三人が彼の方によって来た。それでも彼は返事をしない。みんなの視線は、自然と彼の
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