お芳が仏間から出て来たが、お祖母さんは、すぐ俊亮に言った。
「お芳さんまでが、わざわざついて行くにも及ぶまいよ。あたしは、次郎だけの方が、かえっていいと思うのだがね。」
お祖母さんは、べつに皮肉を言っているようなふうでもなかった。しかし、俊亮は、変に顔をゆがめながら、
「ええ――」
と生《なま》返事をして、しばらく眼をつぶっていたが、
「じゃあ、母さんはよすか。ねえ、次郎。」
次郎はちょっと失望したらしかった。が、すぐ、
「ええ。」
とすなおに答えて、
「すると、俊ちゃんは?」
「俊三は、行きたければ行ってもいいさ。」
「どうする? 俊ちゃん、母さんが行かなくても、行く?」
「ううん――」
俊三はあいまいに答えて、お芳を見た。すると、お祖母さんが、けげんそうに、
「俊三も行くことになっていたのかい。」
「ええ、実は、私は次郎だけのつもりだったんですが、次郎が俊三をさそったものですから。」
「次郎が? 俊三を? そうかね。」
お祖母さんは、まじまじと次郎を見て、何か考えるらしかった。
「だって、母さんも行くのに、俊ちゃん残るの、つまんないや。ねえ、俊ちゃん。」
俊三は赧《あか》い顔をした。俊亮も、次郎がそう言うと、じっとその顔を見つめて、考えていたが、
「お祖母さん、どうでしょう、やっぱりお芳もやることにしては。」
「そうだねえ――」
と、お祖母さんは、お芳の方を見て、
「じゃあ、俊亮もああ言っているし、やっぱり行ってやることにしますかね。」
「はい。ではそういたしましょう。」
お芳はちょっとお浜を見て、台所の方に立って行った。お浜はその時、次郎の顔を見ていたが、その眼は、いくぶん涙ぐんでいるようだった。
「すると結局、六人になってしまったな。大巻では、だしぬけに大変だろう。ご馳走はこちらから用意して行くんだな。」
「六人っていうと?」
と、お祖母さんがまたけげんそうな顔をした。
「恭一とお鶴、それで六人でしょう。」
「おや、おや、恭一も行くのかい。」
「次郎がみんなをひっぱり出すもんですからね。」
「そうかい。……次郎がね。……そうかい。」
と、お祖母さんは、やたらにうなずいた。
「どうだ、次郎、ついでにお祖母さんもひっぱり出しちゃあ。」
「ええ――」
次郎は顔を少しあからめて、お祖母さんの顔を見ていたが、
「そうだなあ、お祖母さんも行くとい
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