そして、どちらに歩があっても、最後はきまって高笑いに終った。恭一と次郎とは、話がわかってもわからなくっても、何か自分たちの知らない新しい世界を見せられるような気持だった。
 三時きっかりになると、徹太郎が、だしぬけに言った。
「さあ、もう帰る時間だ。これから叔父さんが迎えに行かなくても、ちょいちょいやってくるんだぜ。」
 次郎は未練らしく恭一を見たが、恭一はすぐ帰る挨拶をした。するとお祖母さんが、心配そうに、徹太郎を見て、
「次郎ちゃんは正木に帰るんじゃないのかい。一人でいいのかね。」
「いつも一人ですよ。……ねえ次郎君。」
 と、徹太郎は次郎の頭をくるくるなでた。次郎はうつむいていた。
「ほう、いつも一人か。」
 と、運平老はまじまじと次郎の顔を見ていたが、
「これからは、町に行ったら、帰りにはきっとここにも寄ることにするんじゃぞ。恭一君もその時にはいっしょにやって来い。君にはこれから絵を教えてやる。」
 それで徹太郎はまた笑いながら、
「そうれ始まった。恭一君、めったに陥落《かんらく》しちゃいかんぞ。」
 大巻の家を出ると、次郎はなぜか急にしょんぼりとなった。県道に出るまでは、二人はいっしょの道だったが、しばらくはどちらからも口をきかなかった。
 村はずれに来たころ、恭一が言った。
「大巻の家って、いい家だね。」
「うん。」
「あんな家だと、誰でも正直になれるね。」
 次郎は、ちらりと恭一の顔を見ただけで、返事をしなかった。
「次郎ちゃんは、そんな気がしない?」
「するよ。」
「僕たち、今日来たの、よかったね。」
「うん。」
「僕、こないだお祖母さんと来たんだけど、その時はつまんなかったよ。」
「お祖母さんと? 一度っきりかい。」
「そうさ、一度っきりだよ。」
「母さんとは来なかったんかい。」
「ううん。お祖母さんと来たっきりさ。お祖母さんは、僕が母さんと大巻に行くの、嫌いなんだよ。」
「俊ちゃんは?」
「俊ちゃんはもう母さんと何べんも来たんだろう。」
 次郎は默りこんだ。恭一はそれに気づくと、あわてたように話頭を転じた。
「大巻のお祖父さんの絵の話は面白かったね。」
「うん。」
「あんな話、非常に僕たちのためになると思うよ。」
「うん。」
 次郎には、正直のところ、話の意味がはっきりとわかっていなかった。しかし、恭一にそう言われると、何か自分に忠告でもされてい
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