とが出來る、ス※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]ヤム、※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]ラ(自選の式)と云ふがこれである、悉達太子が耶輸陀羅姫を娶られたときは即ち此の式によつたものである、
今、此古代印度の聖人即ち立法者が正當と認め又正當ではないが事實上已むを得ぬとして認めた結婚法と佛教の戒律の上に現はれた結婚法とを比較して見ると、十誦律に所謂索得と云ふは、正に「マヌ」の法典に見えた阿修羅式結婚法で即ち賣買婚である、次に水得と云ふのは梵天式結婚法で、第三に破得と云ふは、正に羅刹式結婚法即ち掠奪婚に相當するやうであり、第四の自來得又は有部律の自樂婦と云ふのは「マヌ」の法典に所謂健達婆式結婚法に相當するやうであるが其の以外の結婚法は、いづれも「マヌ」の法典のみならず古代印度の法典には見えぬ、衣食婦とか、共活婦即ち夫婦共稼ぎの必要から出來た妻であるとか、須臾婦即ち一時の共同生活に基く妻とか云ふ樣な名稱を見るに戒律の注疏の出來た時代は最早、「マヌ」の法典や「ヤヂユナ、※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]ルキア」の法典の編纂せられた印度とは大に社會の事情を異にして居ることが判然する、社
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