者なら察しがつこうというものです。
こういうわけでセラダと小夜子サンは再びアタミの散歩者となったのですが、ここへ来てみれば別天地でした。いつのまに、茶のみ話の妖しい魔術にとらえられてしまったのか、この軽さ、親しさ、解放感、心ゆくまで胸いっぱいの爽やかな孤独感、それらの楽しさを今まで思いだせなかったのがフシギでした。セラダの妙に鼻につかないオッチョコチョイ、居ても居なくても邪魔にならないような、吹けばとぶような軽量感。楽でした。
話はとんで法本です。彼はまだセラダのもとへ分け前をとりに行くこともできないのでした。なぜなら当局の容疑は彼一人とは限りませんが、ともかくその日の二千万円現送の事実を知るものが容疑からまぬがれないのは当然で、法本やその腹心にはそれぞれ明瞭なアリバイがあってもまだ安心はできないのです。何より安全なのは誰の手もとにも盗んだ現金をもたないことで、やむを得ず涙をのんでセラダの豪遊を見て見ぬフリの切なさでした。むろんセラダの豪遊先、阿久津や熱海へ顔をだすこともできません。このような豪遊人士とツキアイがあるなぞと判明しては一大事で、幸いセラダは二世だから、離れている限りそ
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