が現れて大マチガイの推理をはたらかせてあんまりバカすぎたようです。よんでいる方でも、自分の推理が当らないと、トンマな探偵氏と同じようなトンマに見えて自分がイヤになるのが通例ですが、海舟という明治きっての大頭脳が失敗するのですから、この捕物帖の読者は推理が狂っても、オレもマンザラでないなと一安心していただけるでしょう。そこでメデタシ、メデタシ、というのが、この捕物帖です。
 皆さんのオヒマの折のお友達というようなお役に立てたらと考えて書いた捕物帖ですから、楽な気持で推理をたのしみながら愛読をたまわれば幸甚です。

  昭和二十八年二月二十六日
[#地から1字上げ]安吾生



底本:「坂口安吾全集12」ちくま文庫、筑摩書房
   1990(平成2)年8月28日第1刷発行
底本の親本:「明治開化 安吾捕物帖 第一集」日本出版共同株式会社
   1953(昭和28)年4月1日
初出:「小説新潮 第五巻第一号」
   1951(昭和26)年1月1日発行
入力:大野晋、tatsuki
校正:土屋隆
2006年1月23日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫
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